かなり古くなった前置き(1990年代)
いくらインターネットの時代になっても、本は大切な人生の友です。
会社の帰りに毎日古本屋で文庫本を1冊買って帰るので、そこのご主人はあきれている様です。
私が印象に残っている本の一部をご紹介します。
相変わらず、100円均一コーナーで本を買い続けています。
ところで、最近本を買うのはすごく大変です。
ここであげた本も入手不可能の続出です。
前置きの変更 その1(2005年)

最近(2005年7月)かなり状況が変わりました。結構ネットで古本が手に入ります。
以下の本も一時は入手不可能かと思っていましたが どうしてどうして ほとんどすべて購入可能です。
それどころか、電子書籍により、無理して本棚に新しく手に入れた本を押し込める必要が無くなりつつあります。
前置きの変更 その2(2018年)

ネット上では相当の量の古本が流通しています。
価格は非常にお得だったり、やや高めだったり色々です。
かつて入手困難を嘆いた「八点鐘」「バーネット探偵社」などは安価で入手できます。
電子書籍はテキストベースのもので価格優位性があると利用します。
僕が愛した露地
田村 隆一

よく読むと優れた鎌倉案内記。
ただし市内すべてをカバーしているわけではない。
古き横浜の壊滅
O.M.POOL(訳 金井 圓)

関東大震災以前の横浜の描写と関東大震災体験記および後日談。
山下町のオフィスから山手の居宅を目指し家族との合流、 火災から新山下町の崖を降りて逃れ9月5日には船で神戸に避難が生々しい。
これに他の人から聞いたエピソードが加わる。
原文を読みたいが現時点(2018年10月)の価格は5000円以上で高め。
まりあんぬ物語
中里恒子

実際の出来事を小説にしたもの。
主人公は横浜山手の墓地に眠る。
THE MEMORY OF ELISABETH VIGEE-LE BRUNT
Translated by Sian Evans

AMAZON USから購入。発送はイギリス。
Elisabeth Vigee-Le Brunの自叙伝を原文に忠実に英文化したもの。
原文は以下に掲載。
https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k46845d.r=Souvenirs+de+madame+Vigee+Le+Brun.langFR
茶の起源を探る
橋本 実

烏龍茶の語源を 「黒(烏)い雲が常に龍が舞うごとく武夷山を覆う」 と紹介されています。
その出典を知りたいと思います。
茶経詳解
布目潮風

布目先生にとって茶経はライフワークだったに違いありません。
一度お会いしたかった方です。
ティファニーで夕食を
トルーマン・カポティ

映画は観ていない。
村上春樹翻訳を読んだ。
原書を読んでみたい。
きつねのルナール
レオポルド・シュヴォー 編

ルナールはとんでもない狐ではあるが家族想いだ。
これがフランスの個人主義なのだろうか。
百人の王様 わがまま王
原田 宗典

挿絵も著者。
見方を変えると世の中も変わります。
東海道鶴見村
岩崎 京子

きわめて簡素な当時の記録をもとにして物語を組み立て真に迫ります。
Letters to children C.S. Lewisn
邦題 子供達への手紙 C.S.ルイス
C.S.ルイスはつくづくすごい人だと思います。
この本は、ナルニア国物語のファンの子ともたちからの便りへの返事だが、
作家志望の子供もいたらしいです。
その子への返事で引用されている作家名はとても豊富。
他の子供がナルニア国物語の続編を希望したのに対して、自分で書くことを
勧めているのもすごいです。作品の共有とはこういうことを言うのではないでしょうか。
ちなみに続編の種のひとつは、The Last Battleでの天馬とルーシーの会話とのこと。
アメリカの子供への返事には、イギリスの文化の掛け渡しのような雰囲気もあって興味深いです。
さらに、びっくりしたのは、最後の手紙を仕上げた翌朝亡くなったということです。
Tales from Earthsea
Ursuka Knoeber Le Guin
短編の集り。その中でも何気ない結末のものがよい。
海からの贈り物
アン・リンドバーク

育ちの良い人の文章です。
ライオンは寝ている
大貫妙子

南極とアフリカへ旅行記です。
迫力があります。
ハワイイ紀行
池澤夏樹

片岡義男と視点が異なります。
光の石
クリスチャン・ジャック

これで一気に古代エジプトのイメージを固めることが出来ました。
作者が日常の出来事を記したヒエログリフを読むことができ 作品に反映させたからでしょう。
フランス人はエジプトに惹かれるようです。
東京看板娘 (トウキョウカンバンガール)
東京都だけではなく関東地方をカバーしています。
われらが英雄スクラッフィ
ポール・ギャリコ

ポール・ギャリコの動物を主人公とした物語のなかで秀逸。
ヨコハマ建築・都市物語
 吉田鋼市 久我真理子

この本で 何気なく通り過ぎていた横浜の建物が意味を持ってきます。
きよしこの夜 が生まれた日
ポール・ギャリコ

有名な曲、サイレントナイトの不思議な生い立ちとその後。
マチルダ
ポール・ギャリコ

究極の動物を主人公とした小説ではないかと思います
ターバンを巻いた娘
マルタ・モラッツォーニ

純文学という感じです。
海の上のピアニスト
アレッサンドレ・バリッコ

この本は映画化されました。
夜の江ノ電―ぼくの鎌倉八景
田村 隆一

独特のリズムです。
いつかの年の春、鎌倉のハイキングコース、確か天園の先から覚園寺に降りる道の途中の大きな石の上で
鶯の声を楽しんでいた人が田村さんだったのでは
Life and Death in Shanghai
Nien Cheng

パークホテルとグランドシネマの間、上海体育協会9階、南京路中間、人民公園に面する位置がどういう意味をもつか、
館藍白景奉 鶏黄景徳盤(宋、水仙の模様) がどうして上海博物館に所蔵されるに至ったか がわかります。
すごい人です。
「戦争と人間」「人間の条件」
五味川純平

両者とも最終章の数行が心にしみます。
五代由紀子のような人にはいつかどこかでお会いしていたような気がします。
クオ・ヴァディス
ヘンリク・シェンキェヴィッチ

この本では訳者はクオ・ヴァディスを あなたはどこへ行くのですか? と訳していたと思います。
作家はポーランド人、舞台は皇帝ネロの時代のローマ。主人公の友人に人間として魅力的なサテリコンの作者のペテロニウス。
落日の剣
ローズマリ・サトクリフ

原題はSWARD AT SUNSET
とても女性の作品とは思われないほど(それともイギリス人女性がすごいのか)力強い。
ウィンチェスターの古名がウェンタ・ベルガルムと知る。
十二の意外な結末
ジェフリー・アーチャー

古本屋でみつけ久しぶりに読み返してみました。
じんと来る話が数編含まれています。
イギリスの聖堂が出てくるものと最後の1編にこころ打たれます。
ルージュの伝言
松任谷由美

中古本のWeb Shopで2冊購入しました。
1冊すでに家にあるので、誰かにプレゼントとなるのでしょう。
20年たつ今から読んでもすごい。知っている人の名前もちらっと出ていたりして。
ララのいた夏(再度記述)
川上健一

川上健一の一連の本が文庫になりました。(2002年時点)
ららのいた夏もそのなかの一冊です。
最後になると涙ぼろぼろで電車の中で読めないという人もいます。
日本語で生きるとは
片岡 義男
日本語と英語を比較しながら、日本を論じます。 ところで 日本語の音素は21、英語は45、私が仕事で行くかの地の言語では幾つやら
リストランテの夜
ジョセフ・トロピアート

技術とマーケティングは永遠の課題。
ちょっとピンボケ
ロバート・キャッパ

かなり前に読んで、その後、人にあげたのでご無沙汰でしたが 古本屋で再びめぐりあいました。 よくよく読んでみると恋多き人。
菊と刀
ルース・ベネディクト

名前だけは知っていましたが、読んで目からうろこが落ちると言う感じでした。 日本とは何かを改めて見直すきっかけになりました。はじめは古本屋で入手し その本は友人に渡したので、本屋さんには置いてありません。 ところがネットショップでは即入手できました。わたしの入手した本は1997年 初版47刷でした。 戦後日本の古典的べエストセラーと改めて知りました。
山猫の愛のように
コリーヌ・ブレ

はっとする表現がちりばめられています。 ぜひ一読を。 以下のようなセンテンスが随所に現れます。本屋で見つけるのは難しいかもしれませんが、ネットショップでは比較的簡単に手に入ります。 「愛することは超エゴイスティックな行為である。しかし、そこが面白い。 超エゴイスティックになった人には、他人のエゴイズムに通じる通路が見つけやすい。自分をよく知ると、他人をよく理解できると言われているぐらいだからだ。」
ラブ レター
岩井 俊二

映画、CD、そしてこの本を読むとひとつの世界を理解したような気がします。 北川 悦吏子の解説文からしてラブ レターみたいです。さて 岩井さんの 今年の作品の4月物語をみて 学生生活を思い出しました。 そこで、作者の了解を得て、1970年代初めの生徒会の機関紙から、気に入った小文をもってきました。 二番めのフェニックスという題名です。
二番目のフェニックス

「ぼく、どうしようかな」
いつものことだけど彼女は迷っている。
「右にいこうか、左にいこうか」
彼女はとうとう言う。
「ぼく、わからなあい。」
そういわれた方としては決定するのに責任をもたなければならないと
感じてしまう。
彼女は気楽な人。だから午後の日差しの中で気持ち良さそうにしている。
ある春の日の休日。
人通りが少なくて上品な通りで少しの間立ち止まり、ついに
白い小さなお店の方へ行った。
今日はでもその前を通過してしまうんだ。
彼女はコートを着ていない。
時々思い出したようにやって来る少し冷たい風にも負けやしない。
「重いコートなんて。」
「ねえ、あなたも脱ぎなさいよ。」
暖かいから言われたとおりにしたら、彼女はコートを奪い取って自分で着た。
細目のコートだけど女の子には大き過ぎる。
「ぼく、ほんとは寒かったんだ。」
そういった彼女はとてもかわいかった。
やや長めのウルフ・カットでウェーブは自然に出るので、パーマは
かけなくて良くて非常に便利。
広い通りをふたりで歩いていくとどこまででも行けるような気がする。
彼女は首のスカーフを解いて手首に巻きつけた。
風は髪の毛をもてあそんでいる。
季節が変わると通りの色彩が変わる。
ジャニスの愛用ではなく愛煙していたマールボローを口にくわえたら、ライター
でひをつけてくれた。
すれ違う人が一瞬だぶだぶのコートを身につけている女の子のことを見る。
冬はおわりです。もう春なんだ。
長い階段があって、しばらくのぼったから疲れたので、
その途中でふたりで腰をおろした。のぼって来る人やおりてくる人なんて
かまいやしない。
町を見下ろすと、大要の光が建物の窓で笑っている。
微笑はあちこちで取り交わされ彼女の顔のうえにも浮かんでいる。
柔らかい日差しは彼女からコートを取り上げた。
肩のまるみがとても女らしい。
「ぼくがきのう買ったレコード、なんだかしってる。
あのね、ビートルズのサージェントペパーズなんだよ。」
つぶやくように言った。

「どこか 遠くに行きたくなる季節だなあ。」

 「どこかへ行こうか。」「きっと どこへ行ってもいいんだよ。」

「あったかいほうがいい。」

「海へいきたいな。」

「どうして。」

「今ごろはね、人があまりいなくていいもの。」
「春の海ってすてきだもの。あまり男性的じゃなくて、それからきれいだし。」

彼女は続ける。
「春の夜の海ってすきなの。 すいこまれるみたいで。」

海を夜見つめていると、月なんか空にいないときは波の音しか聞こえず、
海は、無限の暗さでしかない。
でも音のする方向をずっと見ていると、絶対にこの先に光りが
あるんだと思えてくる。
この子もそんなことを考えたことがあるのかな。
柔らかい毛の女の子。
ジーンズの好きな女の子。
ふたりでマールボローを一口ずつかわるがわるすっていった。
煙がくるくる回転してきえていく。
たんぽぽがあしもとで咲いているので、彼女は気をつけて足を伸ばした。

軽くからだをあずけて目を閉じる。
暖かい季節っていい。絶対に。

やがて彼女は眠ってしまっているらしい事に気がついた。
のんきだなあ、全く。
ドーデーの風車小屋だよりかアルルの女の話の中に
羊飼いの青年の肩で町のお嬢さんが星の話を聞きながら、
寝てしまう話があったとおもうけど。
ほっぺたを軽くつっいてみたら口もとに笑いを浮かべて目をあけた。
「夢を見てたよ。あのね、何だかとってもいい夢なの。」
それ以上は言わなかった。
もっと長くこうしていたかったけれど、立ち上がって階段を上がることにした。

入ったお店の紅茶はおいしかった。
ふたりともいつだって紅茶のほかは飲まないんだ。
日はやや傾き始めていた。
「ポスターでもつくろうか。それとも小さな雑誌を限定出版しようか。
そうじゃなきゃどっかへ旅にでちゃおうか。きっと何でもできるんだ。」
彼女はうなずいた。
「ぼくも そう 思うよ。 仲間をたっくさんあつめちゃおう。」

ある事を実現するかどうかわからない一番最初の時に希望をほのかにもって
話しているのは、とっても楽しい。
やりたい事はもしかすると全部かそれ以上にできてしまうかもしれないし。
もちろん、 新しいことをやってみようときめても、実際面をおこなっていくのは
慣習的な事の運び方をわきまえるひとになってしまうのは知っている。
そして、ふたりとも気まぐれなところはとっても似ている。
でもなにか、目的を達する時だってあるんだ。
もっとも具体的な目的はあまりきめたりしないけど。

寒さはいつだってすぐ忘れてしまう。
彼女はいつだってわらっている。
世界中は暖かい。
ここちよい喫茶店での時間は進むのがはやいかもしれない。
彼女の目、鼻、 手、髪 にくちつけを。
ふたりがおちつけるところは いつでもどこかに。
砂時計はひっくりかえさなくていい。
子供たちは、太陽のもととはしりまわっているのが幸福です。
大きな大きな輪をずっところがしていってごらん。
道路いっぱいに落書きをするのさ。
赤いチョークや青いチョークでかきつぶしても
雨が流してくれる。
でもそうしたら また書くんだ。

ワイン物語
ヒュー・ジョンソン

これを読むともうワインについてどうのこうの言わなくてもよくなります。
IBMを超えて
ルー・モブリーとケイト・マクコーエンの共著

20世紀で最も成功したといわれる企業の陰の立役者によってかかれました。
ほんものの魔法使い
ポ-ル・ギャリコ

教訓にみちています。
スノーグース
ポ-ル・ギャリコ

著者の処女作、泣ける。ただ「God Speed You} の訳は「うまくやってね」 でよいのだろうか 
雪のひとひら
ポ-ル・ギャリコ

最後の一言の訳がよい。
「さあ ようこそ お帰り」
原文では Well Done,Little Snowflake,Come home to me.
女王陛下のユリシ-ズ号
アリステア・マックイ-ン

戦争の悲劇を描いた小説です。
ララのいた夏
川上健一

湘南を舞台としたなかでも、ひときわ不思議で、少し悲しい小説です。
大聖堂
ケン・ フォレット

臨場感あふれる作品です。彼が本当に書きたかった題材というのもうなずけます。
ジャッカルの日
フレデリック・フォーサイス

真実はどこまででしょうか。
波乗りの島
片岡 義男

波乗りが神聖な行いであったころの精神が伝わってきます。
マイク ハマーへ伝言
矢作 俊彦

まだ本牧に米軍キャンプがあった時代の物語です。
十二支館
村上 元三

明治の横浜を題材としたものでは、これが好きです。
ナルニア国物語
C・S・ ルイス

ここで述べられている教えは幼年期をすぎても有効だと思います。
ゴヤ
堀田 善衛

力作です。全五巻のなかで最高の肖像画と作者が指摘する作品を大英博物館の特別展で見ました。
超伝導ナイトクラブ
村上 龍

こんなバーが何処かにあるような気がします。
鷲は舞い下りた
ジャック・ ヒギンズ

いくらかの真実を含んでいるのでしょうか。
「バーネット探偵社」と「八点鐘」
モーリス・ルブラン

両者とも粋です。堀口大学の訳によるところも大きいと思います。ネットですら入手不能なのは痛い。